Isao Endo  遠藤 功

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シナ日記

シナ日記vol.3

[2009.0105]

シナとの朝の散歩はこの冬も続いている。冬の朝は暗いので、家を出るのは6時半過ぎ。天気がよいと日の出の朝焼けがきれいだ。でも寒い。私たちの住んでいる横浜郊外は都心より2~3度気温が低い。さすがのシナも寒いらしい。公園の霜柱をザクザクと踏みながら、早足で20分ほど散歩して帰ってくる。

公園ではマロンちゃんとよく出会う。おじいさんがいつも連れている2歳半のコーギーだ。もうすぐ2歳になるシナよりちょっと年上のお兄さん犬だ。

マロンちゃんとおじいさんは本当に仲良しだ。昨年の夏、おじいさんがトレッキング仲間と富士登山に出かけた。出発するバスを見送りに、おばあさんがマロンちゃんを最寄り駅のバス乗り場まで連れていった。おじいさんを乗せたバスが出発しても、マロンちゃんはその場所を離れようとせず、結局1時間近くもそこにたたずんでいたらしい。

そのマロンちゃんが少しずつ成長し、大人(成犬?)になってきた。昔は公園でおじいさんにボール遊びをしきりにせがんでいた。おじいさんが振り回されるほどボールとじゃれていたのに、今ではもう関心がないらしい。おじいさんがボールを転がしても、無視して反応しない。シナとは今でもじゃれるように遊んでくれるが、以前ほどはまとわりつかない。おじいさんがちょっと寂しそうに呟いた。「マロンもすっかり落ちついちゃってね・・・」。

もうすぐ2歳を迎えるシナも確実に成長している。でも、「人が大好き」という性格だけはまだ変わらない。散歩中に行き交う人たちに、尻尾をおもいきり振りながら愛想を振りまき、特に好きな人たちと出会うと、歯をムキムキにしながら本当に嬉しそうに寄り添っていく。

このシナもやがて落ち着き、大人になっていくのだろう。人に対して今までのようには関心を示さなくなるのかもしれない。「いつまでも愛想なんか振りまいていられないよ」。それがシナの本音かもしれない。それはそれで仕方のないことだ。

時の流れと共に、人も犬も成熟していく。そして、その関係も成熟していく。時を積み重ねるとはそういうことだ。

でも、根底にある絆は変わることなく、深まっていく。変質するのではなく、熟生されていく。冬空の寒気の中、公園から出ていくマロンちゃんとおじいさんの後ろ姿を見ていたら、見えない絆が見えた気がした。