Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.401 ニュージーランドの光と影

[2018-09-17]

 夏休みで出かけたニュージーランドという国の印象を記したいと思います。わずか3日の滞在で、しかもオークランドという都市しか見ていないので、偏った印象ですが、それなりに感じるところ、考えるところはありました。
 最初の印象は、「豊かなところだな・・・」ということでした。自然豊かで、街はきれいに整備されているし、天候も温暖。人々もフレンドリーで何不自由ない理想の国のように見えます。
 オークランドの中心部から少し離れた海岸沿いにはモダンな住宅やマンションが立ち並び、「こんなところに住んだらさぞかし快適だろうな」と誰もが思います。
 数多くのワイナリーがあるワイヘキ島は、オークランドからフェリーで約40分。自然豊かで、風光明媚。「こんなところに別荘があったらいいな」とみんな思うでしょう。
 しかし、物価はけっして安くありません。ペットボトルの水が4ドル。日本円で320円もします。タクシーもちょっと乗るだけですぐに20ドル(1600円)くらいかかります。
 ワインは安いだろうと思うと、これが大間違い。日本で手に入れるのとたいして変わらない値段で売られています。
 これだけ物価が高いにもかかわらず、みんながそれなりに豊かな生活をするには、それなりの収入が必要ですが、現実を見れば庶民の所得水準はそれほど高いわけではありません。つまり、ここニュージーランドもご多分にもれず貧富の格差が拡大しているのです。
 ガイドの方が、「オークランド市内の住宅価格はここ10年あまりでほぼ倍増。平均価格は100万ドル」と教えてくれました。100万ドルとは8000万円。あくまでもこれは平均なので、200万ドル、300万ドルの家がざらにあります。これでは庶民は手が出ません。

 不動産価格の高騰、家賃の上昇は相当深刻で、その影響でホームレスが急増しています。豊かでのどかな国というイメージのニュージーランドに、ホームレスは似つかわしくありません。しかし、現実はOECD35ヶ国中、ホームレス人口比率ワースト1という不名誉な結果になっています。私もオークランドの街中でホームレスを見かけました。
 しかも、ホームレスの3分の1は先住民族であるマオリ族の人たちだそうです。人口に占めるマオリ族の比率は15%ほどにすぎません。
 調べてみると、トップ10%の金持ちが残り90%の人たちの総資産より大きな資産を持っています。さらに、トップ1%が富の30%近くを持っています。
一方、60%の人たちの貯蓄は1万ドル(80万円)以下。つまり、私たち観光客が垣間見る豊かな暮らしぶりは、ニュージーランドの10%の人たちの暮らしぶりであり、残りの90%の人たちは厳しい生活を強いられているのです。
 ニュージーランドは国営企業の民営化、規制撤廃、外資参入、移民の受け入れ、官僚数の半減など思い切った施策で、小国でありながら豊かな高福祉国家を実現してきました。
 しかし、中国マネーが不動産を買い漁るなど、問題も起きています。今大きな曲がり角を迎えているのは間違いありません。豊かさの裏にある現実に目を向けなければ本質は見えてこないと感じる旅でした。

[今週の出会い]

 イーデンパークのロッカールームに貼られていたポスターが、あまりにも刺激的でした。「If you fear failure, you’re already considering it an option.」(もしあなたが失敗を怖れているとしたら、その時点で失敗することをひとつの選択肢として考えているということだ)。つまり、「成功することだけを考えろ」という意味です。常勝チームを支えている精神に感動です。

[今週のシナ]

 ちょっと鼻デカのシナです。トリミング後すぐなので、まだふかふかで気持ちいい。スリスリしながら、その感触を楽しんでいます。