Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.412 土壌づくり

[2018-12-10]

 11月29日に住宅金融支援機構の平成30年度カイゼン発表全国大会が開かれ、特別審査員として参加してきました。
 住宅金融支援機構は、民間金融機関が住宅ローンを提供するための資金支援をメインに行っている独立行政法人(独法)。「フラット35」という長期固定金利の住宅ローン商品などで知られています。
 以前にもこのコラムでご紹介したことがありますが、住宅金融支援機構は全組織を挙げてカイゼンに本気で取り組み、成果を上げている数少ない独法のひとつです。
 カイゼンは民間企業では製造業を中心にどの会社でも取り組んでいます。日本企業の現場力を支える中核的な活動として認知されています。
 しかし、独法という公的な組織では、行っている組織はあるものの、その多くは形骸化しており、成果には結びついていません。
 そうした中で、住宅金融支援機構はカイゼンに本気で取り組み、競争力の根幹に据えようとしています。今回の全国大会は7回目。そのレベルも間違いなく高まっています。
 今年度は組織全体で2400件の改善事例が寄せられ、その中から35件の好事例が選ばれました。その35件を全職員による投票で10件に絞り込み、全国大会では10チームがプレゼンテーションを行いました。
 職員投票の投票率はなんと97%!組織全体の意識の高さがうかがわれます。
 熱のこもったプレゼンテーションの結果、審査委員賞には財務企画部の「金利適用日の統一」が、そして特別審査委員賞には市場資金部の「郵便物受領証事務の見直し」が選ばれ、表彰されました。
 今年度の取り組みでは、自部署内でのカイゼンを超えて、他部署や外部も巻き込んだカイゼンを進めることが大きなテーマになっていました。
 ただ、これは口で言うのは簡単ですが、実際に実行するのはきわめてハードルの高いカイゼンです。
 現場において「何かを変える」というのは、たとえそれが小さなことであっても、とても面倒なことです。慣れないことをやるので、うまくいかないリスクも感じてしまいます。
 現場というところには、「慣性の法則」が流れています。たとえ問題だと分かっていても、これまで通りやるほうが無難だし、楽なのです。だから、敢えて「何かを変える」ということはやりたがらないのです。
 自部署でもカイゼンは面倒なのに、ましてや他部署や外部も巻き込んで「何かを変える」というのは、相当なエネルギーがないとやれません。住宅金融支援機構にはそれができるだけの組織能力(capability)が構築されつつあるのです。これは実に素晴らしいことです。
 カイゼンが定着し、現場力の土台ができるまでには、最低でも10年はかかります。それぐらいの時間をかけなければ、現場力の「土壌」はできません。
 カイゼンは「筋トレ」と同じ。地味で、辛いですが、「筋トレ」を毎日欠かさずにやらなければ、トップクラスのアスリートにはけっしてなれません。
 住宅金融支援機構のカイゼン全国大会は、今年で7年目。10年という節目までもう少しです。みんなで「土壌づくり」をしているのだという意識を持ち、これからも良いお手本を示し続けてほしいと願っています。

[今週の出会い]

 散歩の途中で、めちゃくちゃきれいな菊に遭遇!思わずパチリ!すごく秋を感じる瞬間でした。

[今週のシナ]

 色づく紅葉を愛でながら散歩中のシナです。12月に入りましたが、今年はまだ秋模様が残っています。涼しくなってきた空気を感じながら、残秋の散歩を楽しんでいます。