Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

各種メディア、各種媒体での掲載とその概要を紹介します

一流のビジネスパーソンを目指す人のための総合型ビジネススクール「カラーズ・ビジネス・カレッジ」を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.388 「もの申す」勇気

[2018-05-21]

 ゴールデンウィークのさなか、自宅でゆっくり日経新聞の朝刊に目を通していると、よく知る人の名前が出てきました。それはSOMPOケア会長の奥村幹夫さんの投稿記事でした。
 奥村さんは私が社外取締役を務めるSOMPOホールディングスの取締役でもあり、取締役会ではいつも並んで座り、仲良くさせてもらっています。私も介護現場を視察させていただいたり、社内で講演をさせていただいたりしています。
 SOMPOは介護事業に本格参入し、奥村さんは日本の介護の現場を本気で変えようと奔走しています。大手の介護会社を2社買収し、きわめて短期間で生い立ちの異なる2社を統合し、新たな事業プラットフォームを構築しました。そのスピード感には感服します。
 その奥村さんが日経新聞の「私見卓見」というオピニオン欄に投稿され、「介護現場、書類負担の軽減を」と訴えています。
 その内容からは、一般の人たちが知らない介護現場の実態が浮かび上がっています。それはいかに介護現場が書類作成や管理業務などに時間を割かれ、疲弊しているかということです。
 記事によると、介護現場では記録の作成や施設管理の仕事が全業務の3分の1にもおよんでいます。本来行うべき介護サービス業務よりも多くの時間を、紙やパソコンに割かざるをえないという実態を改善しない限り、介護業界の生産性は絶対に上がらないと奥村さんは主張しています。
 紙やパソコンに向き合い時間が増えてしまう原因は、書類の簡略化やデジタル化が大きく遅れていることにあります。介護業界では役所への各種届け出など膨大な書類の作成が求められます。それはそれでやむをえないことですが、あまりにも煩雑な手続きやIT化の遅れを放置したままでは、介護業界に明るい未来はありません。
 これは一民間企業で対応できることではありません。行政の仕事そのものを根本的に見直し、ムダを徹底的に省き、抜本的に仕事の生産性を高める努力をしなければ、日本という国の競争力を高めることは不可能です。
 働き方改革、仕事改革を一番真剣に考え、仕事の「断捨離」や新陳代謝を断行しなければならないのは、国や行政なのだと私は思っています。
 奥村さんは記事の中でこう提言しています。

「だからこそ行政には、我々事業者とともに書類の簡略化とデジタル化に真剣に取り組んでもらいたい」

 国や行政に対して「もの申す」のは、民間事業者としてはとても勇気のいることです。しかし、それこそがSOMPOがこの業界に参入したひとつの使命であり、責任なのだと思います。国や行政が民間の声に真摯に耳を傾けてくれることを期待しています。

[今週の出会い]

 ゴールデン・ウィークは読書三昧の日々でした。なかでも、旅行記好きの私にとって面白かったのは、春間豪太郎『行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険』(KKベストセラーズ)という本。
 20代の若手冒険家の無謀な旅の顛末は、本当に面白い!今の私には絶対できない旅。若さに嫉妬を覚える本でした。

[今週のシナ]

 シナはトリミングにいって、サッパリしてきました。ちょっと口周りが四角いのが気になりますが、じきに丸くなってくるでしょう。これで爽やかに散歩を楽しめそうです。