Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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一流のビジネスパーソンを目指す人のための総合型ビジネススクール「カラーズ・ビジネス・カレッジ」を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.350 信念の力

[2017-06-19]

 来年出版を予定している本の構想づくり、材料集めを始めました。来年は私が経営コンサルタントになって30年目。この節目の年に、私なりの企業論、経営論をまとめようと思っています。
 経営学に関する学術書や理論書を読み直したり、偉大な経営者の自伝などを丹念に読み進めています。中でも、偉業を残した経営者の本は実に奥が深く、何度読んでも新しい発見があります。
 松下幸之助氏の『夢を育てる』、本田宗一郎氏の『夢を力に』、小倉昌男氏の『経営はロマンだ!』などは、それぞれの会社固有の生い立ち、歴史を越えた普遍的なメッセージがぎっしり詰まっています。
 特に、私は本田宗一郎という経営者に強く惹かれます。経営者という枠を超え、本田宗一郎という魅力的な個性、人間性に大きな魅力を感じます。
 根アカで純情。夢を一途に追いかけ、打算抜きで勝負する。失敗してもくじけることなく、笑顔とユーモアを忘れない。今の日本に必要なのは、まさにこういう経営者です。
 本田宗一郎が浜松に本田技術研究所を設立したのは1946年。40歳の時です。けっして若いとは言えない40歳の時に会社を興し、1973年に社長を退任するまでの27年間で「世界のHONDA」にまで発展させました。とてつもない情熱と行動力、エネルギーにただただ感服するばかりです。
 この3人に共通するのは、非常識を常識化させようとする圧倒的な「信念の力」です。3人が打ち出したビジョンは当時、周囲からは「そんなことはできるはずがない」と思われるほど非常識なことでした。
 水道の水のように物資を満たし、貧しさを克服し、不自由を無くすという「水道哲学」を掲げた松下幸之助。世界最高峰のレースで優勝し、世界一を目指すという目標を掲げた本田宗一郎。絶対に儲からないと言われた小口配送に専念するという決断をした小倉昌男。周囲からは「大ボラ吹き」と呼ばれるほど非常識なことに果敢に挑戦したのです。
 その挑戦を支えたのは、まさに彼らの信念でした。周囲がなんと言おうが、自分の信じた道を愚直に歩み続ける。「できるはずがない」と諦めるのではなく、「どうすればできるのか?」を考え続け、動き続ける。
「信念の力」が不可能を可能にし、非常識を常識へと転換させる。経営において何が大事なのかを改めて考えさせられました。
 私が32歳でBCGに転職し、経営コンサルタントとしてのキャリアを歩み始めた頃、あるプロジェクトで一緒になった米国人コンサルタントがさかんに「Belief」という言葉を使っていました。
 しかし、駆け出しコンサルタントだった当時の私には、彼が言う「Belief」という言葉の意味や重みをほとんど理解することができませんでした。「何を観念的なことを言っているのか・・・」と訝しくさえ思っていました。
「Belief」(信念)が経営においていかに大事なものであるかを理解するのに、30年もかかってしまいました。本当に大事なことは、時を重ねないと理解できないのかもしれません。

[今週の出会い]

 この歳になってはじめて父の日のプレゼントをもらいました。「お父さん日本一」のラベルがとても可愛い福光屋の日本酒。ちょっと冷やして呑ませていただきます。

[今週のシナ]

 クリーニングから戻ってきたYシャツのネックについている紙で目隠しされているシナです。なぜか嫌がりもせず、おとなしくじっとしています。不思議なシナです。