Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.71 ストックホルム

[2011-07-08]

 7月初めにスウェーデン・ストックホルムを訪問してきました。ローランド・ベルガーのInternational Partners Meeting(IPM)へ出席するためです。IPMは年に2回開催され、全世界のパートナー(共同経営者)170名が一堂に集まる会合です。
 今回はEC(Executive Committee)から今後の成長戦略(P4G:Plan For Growth)が示され、議論することが大きな目的でした。のべ20人近くから、様々な質問や意見が出されました。中にはどうでもいいと思うような些末な質問もないわけではありませんが、こうしたプロセスを経て、みんなが納得することが大切だと信じているので、手間暇かけて対応します。時間はかかりますが、健全なアプローチだと思います。

 今回のIPMでは、日本人パートナーが東日本大震災復興支援のためのチャリティTシャツを販売しました。100枚持っていったのですが、完売!50万円近い義援金を集めることができました。中には、家族にもと2枚、3枚と買ってくれる人もいました。

 ストックホルムは歴史豊かで、落ち着いた、とてもきれいな街です。いくつかの湾に面していて、「北欧のベニス」と呼ばれるほど風光明媚な「水の街」でもあります。
 但し、私のような人間からすると、あまりにも整然としすぎていて、どこか物足りません。ニューヨークやパリ、ローマといった大都会が醸し出す猥雑な人間の匂いがないところが、私にとっては今ひとつ魅力に欠けるところです。もちろん、「そこがいいのだ」という指摘もあるでしょうが・・・。
 帰りに空港まで乗ったタクシーの運転手さんはトルコ人でした。10数年前にスウェーデンに来て、citizenshipもとっています。「スウェーデンの生活はどう?」と尋ねると、すぐに「Boring!(退屈)」と答えました。そして、「この国では何も起きない(Nothing happens.)」と付け加えました。確かに、色々な問題が山積し、日々「何かが起きている」トルコから見れば、あまりにも平穏無事な生活なのでしょう。(今の日本は、トルコ以上に色々なことが起きていますが・・・)

 「スウェーデンはSocial Security(社会保障)がしっかりしているからいいよね?」と尋ねると、「このタクシーで上がる収入の内、どれだけ税金でもっていかれると思う?」と逆に質問されてしまいました。 「40%」と当てずっぽで答えると、「何言ってるんだよ。55%だよ!」と溜め息をついていました。
 所得税が55%。それに消費税(付加価値税)が25%。当り前のことですが、充実した社会保障は応分の負担がなければ、手に入りません。
夕方、街を歩くと、仕事を終え、帰宅する自転車通勤の人たちが多いことに気付きます。女性も多く、中にはおばあちゃんがヘルメットをかぶり、一生懸命坂道をこいでいます。
 この国の女性の労働参加率は76%ときわめて高く、その多くは公務員として福祉部門で働いています。(ちなみに、日本の女性労働参加率は48%)。ちなみに、この国で働く人の3分の1は公務員です。
 日本ではどうしても税金と社会保障という二つの要素だけで語られがちですが、そもそも「働き、稼ぐ」という観点抜きに、これらを議論することは意味がありません。みんなが汗水流して働き、みんなが応分の負担をする。それによって、みんなの生活が守られる。言われれば当たり前のことですが、スウェーデンという国は国家のシステムとしてこの「当たり前のこと」を機能させているのだと感じました。

(お知らせ)

 7月16日に光文社より『経営戦略の教科書』という新刊を出版します。これは早稲田大学ビジネススクールでの私の「経営戦略」の講義内容をまとめたものです。経営戦略の初心者でも理解できるよう、分かりやすく、豊富な事例と共に解説しています。新書ですので、気楽にお読みいただけると思います。是非ご一読ください。

[今週の出会い]

 東芝ラグビー部ブレイブルーパスの廣瀬俊朗選手、三井大祐選手との会食時の記念ショットです。(一緒に写っているのは、いつも美味しい中華を食べさせていただいているメゾン・ド・ユーロンの阿部淳一シェフ)
 東芝は言わずと知れた、社会人ラグビーの強豪。トップリーグや日本選手権などで何度も優勝を収めています。
 廣瀬さんは先期まで東芝という常勝軍団で主将を4年間務めたラグビー界の逸材。そのクレバーさ、キャプテンシーは群を抜いています。三井さんは早稲田時代、5年生として部に残り、完全燃焼して、大学選手権優勝に貢献した無茶苦茶ハートのある選手です。以前このコラムでご紹介した中竹竜二さんが監督時代の教え子でもあります。
 二人とも謙虚でありながら、ぶれない芯の強さを持っています。若い二人からたくさんのエネルギーをもらいました。

[今週のシナ]

 お気に入りのドーナツのおもちゃで遊んでいるシナに声をかけると、こっちを向いてくれました。魅惑のカメラ目線!