Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.73 新幹線劇場

[2011-07-25]

 「新幹線劇場」と呼ばれる凄い現場を視察してきました。詳しくは近々「現場千本ノック」でお伝えしますが、今回はその概要についてお話したいと思います。
 その会社は鉄道整備株式会社というJR東日本のグループ会社です。東北・上越等の新幹線の車両清掃や新幹線東京・上野駅の構内清掃などを担当する会社で、今回はその東京サービスセンターを訪問しました。
 以前、JR東日本の石司次男副社長と会食した際、「凄い現場があるよ」とお聞きし、「是非この目で見たい」と無理をお願いし、今回の訪問が実現しました。
 なんといっても、その凄さは新幹線の折り返し清掃を「7分」という世界最速のスピードで行うことです。東北新幹線などの東京駅での折り返し時間は、わずか12分。降車に2分、乗車に3分を要するため、実際に清掃に使える時間はたった7分しかありません。この清掃は7分間の「魅せる清掃」と呼ばれています。
 今回はその清掃現場も見学させてもらいました。22人が1チームとなって、8両編成の車両清掃にあたります。乗客としてホームで待っている時には、7分は長く感じられますが、実際に清掃の現場に立ってみると、7分はあっと言う間です。その間に車両の清掃、トイレの掃除、ゴミ出しなどをすべて完了させなくてはなりません。
 ちんたらやっている暇などありません。みんなが協力して、機敏に動き、手を抜くことなく、すべての業務をやり切らなくてはなりません。作業にあたっている皆さんはまさにプロです。実際、この会社では従業員を「清掃というメンテナンスを行っている技術者」と呼んでいます。

 さらにこの会社が賞賛に値するのは、挨拶や礼儀などの躾教育を徹底し、乗客にとってとても気持ちの良い接客・対応を心掛けていることです。車両に乗り込む前、そして清掃が終わった後は、チーム全員が車両に沿って一列に並び、丁寧に心をこめてお辞儀をします。コメット・スーパーバイザー(CSV)と呼ばれる人たちは、乗客への案内やサポートを親身になって提供しています。
 この会社は単なる「清掃」の会社ではありません。「おもてなし」の会社として、「情緒的価値」を提供しているのです。乗客が快適な時間を過ごすために車内を念入りに清掃するだけでなく、ちょっとした接点での礼儀正しさや笑顔、さりげない親切はホッとするぬくもりを私たちに与えてくれます。それによって、私たちの旅は本当に心豊かなものになります。

 こうした現場力は日本ならではのものであり、他の国が真似することはできません。フランスの国鉄総裁がこの会社の現場を訪問した際に、その仕事ぶりに驚いて、「輸出してほしい!」とまで言ったそうです。新幹線の技術などではお互いに競い合い、譲ることはありませんが、こうしたおもてなしのサービスにおいては日本の独壇場です。技術力という「ハードの力」はもちろん大切ですが、日本にはさらにサービスという「ソフトの力」があります。その凄さを再認識した現場視察でした。(鉄道整備の取り組みは、『日経ビジネス』2011年3月7日号で大きく取り上げられています。是非お読みください。)

[今週の出会い]

 カラーズ・ビジネス・カレッジ(CBC)で私が担当している「経営戦略」講座、「現場力」講座が無事終了し、合同で修了懇親会を行いました。それぞれ8回、約4ヶ月に亘る講座でしたが、受講生同士の「和」もでき、とても気持ちのよい懇親会でした。
 私は常日頃、「狭い世界から飛び出せ!世界は広い」と言い続けています。毎日同じ電車に乗って、同じ職場に通い、同じ人たちと会い、同じような仕事を繰り返す。狭い世界で窮屈そうに生きている。
 でも、実際の世界はもっともっと広く、ダイナミックなものです。CBCは単なる勉強の場だけでなく、「自分の世界」を広げる場でもあると思っています。
 この二つの講座も、年齢層は20代から60代まで、元経営者や上場企業の役員から入社数年目の若手まで、そして業界もきわめて多様です。こうした「異質性」が何より大切です。
 第2期でも多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まってくれることを期待しています。「世界を広げたい」と思っている人たちの参加を待っています。

[今週の出会い]

 シナの首に巻いているのは、暑さ対策の「首巻き」です。水で濡らすとヒンヤリし、この時期の散歩には欠かせません。冷たくて気持ちがいいのか、シナも嫌がりません。
 この「首巻き」、いくらだと思いますか?そのお値段、なんと1800円!しかもペットショップでは売り切れ続出で、これも最後の一本でした。ペット商法、恐るべしです。