Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.75 大宮魂

[2011-08-08]

 鉄道車両メンテナンスの「凄い現場」を視察してきました。JR東日本の大宮総合車両センターです。詳しくは近々「現場千本ノック」でご紹介しますが、今回はその一端をご披露します。
 前々回のこのコラムで、鉄道整備株式会社という新幹線の車両清掃を行っている会社をご紹介しましたが、今回は鉄道車両というハードの整備を行っている現場です。整備という一見地味な現場ですが、ここにも日本が誇る現場力が脈々と息づいていました。
 大宮総合車両センターの発足は、なんと明治27年!日本鉄道会社の大宮工場としてスタートし、その歴史は116年にもなります。現在の敷地面積は約15万平方メートル、東京ドーム約3個分の広さです。
 ここで担当しているのは、東海道線や埼京線などで走っている「通勤・近郊型車両」と呼ばれる車両がメインです。新幹線や山手線などは扱っていません。車両のタイプも多く、一言で言うと「めんどくさい車両」が大半です。
 こうした車両は3~4年ごとに大掛かりな定期検査を行います。車両全体をばらし、個別の部品などを検査、修善し、組み立て直します。1年間に検査する車両数は約千両。約430名の社員と約250名のグループ会社、パートナー会社が担当しています。

 驚くべきは、その整備品質の精度です。たとえば、埼京線などで走っている205系の百万キロ当りの故障件数は0.27件。こう言ってもピンとこないと思いますが、分かりやすく言うと「約25年走って、故障が1件発生する」という驚異的な品質レベルです。車両をばらして、再組み立てをするというオーバーホールの整備をおこなっていながら、これだけ何も起きない、起こさないというのは、まさに現場力の証明です。
 この現場には改善活動が根付いています。平成21年度の提案件数は約1万3千件。社員1人当り30件/年もの改善が実施され、その参加率もほぼ100%です。
 今年からは小集団で取り組む「My Project」もスタートし、チームでじっくり検討し、改善を行う活動もスタートしました。現場を回り、いくつかその取り組み実績を見せていただきましたが、現場ならではの目線で気付いた問題点を、自分たちで治具などを製作し、改善していくその問題解決力は実に素晴らしいものです。
現場で働く皆さんの目は、とても輝いていて、清々しささえ覚えました。「やらされ感」は一切ありません。車両整備という仕事に誇りを持ち、地道な活動を主体的に積み重ね、知恵を生み出す「ナレッジ・ワーカー」が生まれています。「ナレッジ・ワーカー」の存在こそ、現場力の証です。
 大宮総合車両センターでは、一般車両の定期検査だけでなく、車両の新造・改造も行っています。寝台客車「カシオペア」やお座敷電車「せせらぎ」、253系の東武線相互乗り入れ車両の改造などはここで行われています。

 さらに、ここ大宮ではSLの復元も行われています。私が訪問した時も、C61-20号機「はやぶさ」の復元作業が行われていました。「鉄ちゃん」にとっては、垂涎の現場です。
 こうした新造・改造やSLの復元は、現場における技術や技能を高め、伝承するだけでなく、現場の誇りを大きく喚起します。現場における地道な改善の取り組み、そしてこうしたワクワクするプロジェクトの存在によって、「大宮魂」は受け継がれています。
 日本の「当たり前」はこうした現場力によって支えられています。中国で大きな鉄道事故が起きた直後の訪問だっただけに、日本の鉄道の凄さはどこから生まれているのかを再認識する訪問となりました。

[今週の出会い]

 7月31日(日)に早稲田大学ビジネススクール主催の「WBSフェア」が開催されました。これはWBSをもっと広く知ってもらおうという目的で、3年前に私がWBSの責任者(ディレクター)を務めていた時に始めたものです。
 今年も350名を超える参加者が集まり、とても盛況でした。教員とOB・OGのトークセッションでは、相葉先生、内田先生、松田先生、そして私という4名の教員とそれぞれのゼミの卒業生が壇上に上がり、その体験談やエピソードなどを語ってもらいました。私のゼミからは現在、みずほ総研でコンサルタントを務めている山田航介さんに参加してもらいました。

 「WBSフェア」終了後は、遠藤ゼミの前期の打ち上げを高田馬場で行いました。今月から交換留学でイタリア・ミラノの名門ボッコーニ大学に4ヶ月留学する中山佳音さんの壮行会も兼ね、ゼミ仲間から記念品が贈られました。中山さんは以前「ミラノで長友をゲットする!」と豪語していましたが、「叶わぬ夢」で終わりそうです。せいぜい勉強に励んできてほしいものです。

[今週のシナ]

 シナは月に1回のバブルバスにつかった後、ひまわりの飾りをつけてもらいました。夏らしく、お似合いです。バブルバスの後は、超フカフカ!