Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

各種メディア、各種媒体での掲載とその概要を紹介します

一流のビジネスパーソンを目指す人のための総合型ビジネススクール「カラーズ・ビジネス・カレッジ」を紹介します

「現場学」を研究し、強い現場づくりを目指す遠藤研究室を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.77 技術とマネジメント

[2011-08-22]

 先週、日本電子株式会社のグループ幹部研修会に招かれ、約120名の役員・幹部の皆さんを前に、講演をさせていただきました。日本電子はJEOLという通称で知られ、ノーベル受賞者も含め世界の一流科学者や研究者の間では知らない人がいないほどの最先端ハイテク企業です。
 最も有名な製品は電子顕微鏡でしょう。その技術、品質は世界最高峰です。今回招かれた際にいただいた科学雑誌『Newton』(ニュートンムック)でも、宇宙探査機「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワの微粒子を分析する装置として、JEOLの高性能顕微鏡が紹介されています。
 JEOLの事業分野は電子顕微鏡だけではありません。「観る」「測る」技術をもとに、精密理化学機器や半導体関連機器、医療用機器にまでその応用分野はひろがっています。ハイエンドの計測・分析装置をこれだけ幅広く手掛けている総合メーカーは、世界でもJEOLだけです。間違いなく、世界に冠たる日本が誇る最先端技術の会社です。(私の「現場千本ノック」第9話でも紹介していますので、是非お読みください。 http://gemba-sembonknock.com/2010/09/06/1339.html)

 JEOLに講演に招かれたのは今回が初めてではありません。実は、ここ3年、毎年8月にお招きを受け、今回が4回目です。拙書『見える化』を読んでいただいた栗原権右衛門社長に、お声を掛けていただいたのがきっかけです。それ以来、毎年お招きいただき、それぞれ別のテーマでお話をさせていただいています。今回は最近出版した『伸び続ける企業の「ノリ」の法則』をもとにお話をさせていただきました。
 一番最初に招かれたのが、2008年。栗原社長が社長に就任された直後でした。正直、その時私が受けた印象はけっしてよいものではありませんでした。出席されていた役員・幹部の方々はどこかぎこちなく、覇気が感じられず、暗い雰囲気が漂っていました。当時、業績が低迷し、リストラも余儀なくされ、ある意味ではやむをえない状況だったのでしょう。
  世界最先端の技術を誇り、世界の超一流科学者たちからも絶賛される製品を生み出していながら、それが成長や収益につながらず、会社全体が自信喪失の状況にありました。一流の技術を持ちながら、マネジメントが稚拙、もしくは不在だったのです。
 栗原社長は退路を断って、改革に取り組み始めました。社内に巣食う縦割り組織の弊害、生産や営業・サービスなどを軽視する技術至上主義、他社にはない総合力を持ちながら、それを活かし切れない連携の弱さ、技術や製品ばかりが前面に出過ぎ、お客様のアプリケーションからの視点の欠如など、技術主導の会社にありがちな悪弊に挑戦し、会社を変える取り組みを続けています。一流の技術を活かすためには、一流のマネジメントが必要なのです。
 その成果は間違いなく、出始めています。円高という苦労はありますが、受注は絶好調。特に、海外からの引き合いはきわめて強く、新たな成長ステージに入りつつあります。

 8月26日には東大浅野キャンパスで、「グリーンテクノロジーセミナー2011」というイベントを開催します。(http://www.jeol.co.jp/event/2011/110826_2.htm)
 これは個々の技術や製品という供給者の視点ではなく、未来を切り拓く新たなアプリケーションという需要者の視点でJEOLの技術や製品の可能性を紹介するというもので、今までにはなかった発想での取り組みです。同じ技術でありながら、その視点や切り口、立ち位置を変えるだけで、より大きな可能性が広がってきます。
 社内では、「見える化」の取り組みを強化。現在では、「褒める化」(自律的、自発的な取り組みに対して4半期ごとに社長賞を授与)、「言える化」(役員会議などでの自由闊達な意見交換)などに広がっているとお聞きしました。
 今回の講演では、出席されていた皆さんの表情がとても柔和で、溌剌としていて、社内がとてもよい雰囲気であることが伝わってきました。JEOLの未来は輝いています。マネジメント次第で「会社は変わる」ということを実感した1日でした。

[今週の出会い]

 ローランド・ベルガーの中堅・若手メンバーたちと明治記念館のビアホールで暑気払いをしてきました。みんな30歳前後で、最もバリバリと働いてもらわなければならない人たちです。
 一方では、これからのキャリアやプライベートについては一番悩ましい時期であります。私自身もこの年代の頃に、大きな転機を迎えています。私の経験談がどこまで参考になるか分かりませんが、こうした場を増やして、若い人たちと交流していこうと思っています。

[今週のシナ]

 銅像のようにお座りをしていますが、眠さに耐えきれずに、目をつむるシナです。痒みの原因であるアレルギー反応の診断結果が出ました。なんと、お米とししゃもに陽性のマークが・・・。ししゃもを食べさせたことはありませんが、たまにご飯をお裾分けしたり、ペット用のおやつにも米粉が入ったりしています。しばらくは、慎重にやっていこうと思っています。