Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.79 『プランB』

[2011-09-05]

 文藝春秋から『プランB』という翻訳書が送られてきました。この本を「週刊文春」(9月1日号)で特集した際に取材を受け、コメントを寄せたので、そのお礼で送っていただきました。
 この本はジョン・マリンズというロンドン・ビジネス・スクールの先生とランディ・コミサーというスタンフォード大学の先生の共著として、2009年に欧米で刊行されました。
 一般に「プランB」というと、プランAと並行してあらかじめ用意しておくバックアップ用の次善の計画という意味で使われます。しかし、この本における「プランB」は、プランAの失敗を受けて、それを改善・改良することによって生まれるプランAの進化モデルという意味で使われています。プランAとはまったく別物の計画として「プランB」を用意するのではなく、たとえ当初はうまくいかなくても、プランAに執着し、粘り強く改善・改良を加えることによって成功は生まれるというのが、本書の基本メッセージです。
 この本の英語のタイトルは、「Getting to PLAN B – Breaking through to a better business model」です。最初から「best」を求めるのではなく、よりよいものに改善・改良するという「better」という言葉が使われているところが、この本の味噌でしょう。
 取り上げられている事例は、アップル、アマゾン、グーグル、パタゴニアなどの超有名企業。そうした企業が当初のプランAの失敗を乗り越え、いかに粘り強く「プランB」に辿り着いたかを検証しています。
 「週刊文春」の取材で、私は「『プランB』は日本企業にとっては当たり前のこと。目新しいことは何もない」とコメントしました。斬新で、クリエイティブな戦略やビジネスモデルを考案しても、所詮それは「仮説」にすぎません。それを実践しながら、泥臭く改善・改良を繰り返すのは、日本企業の十八番といっても過言ではありません。
 むしろ、こうした本が欧米で出版され、注目を集めていることに、私は欧米の閉塞感を感じます。これまでは、特に米国では改善や改良といった「ちまちました」小さなことの積み重ねよりも、不連続性の高いイノベーションを追求することに重きを置いてきました。
 しかし、残念ながら本当に革新的なイノベーションは、そう頻繁に生まれてくるものではありません。この本の第1章のタイトルは、「発明より改善を」。なんとも日本的です。単なる思いつきの空理空論に固執するよりも、現場で粘り強く改善・改良を繰り返すことが大切だと説くこの本は、欧米企業が直面している壁を言い表しているとも言えます。
戦略であれ、業務であれ、商品であれ、仕組みであれ、現場主導で粘り強く改善・改良を積み重ねていける現場力こそ、日本企業の優位性の源泉です。日本的経営の持つ本質的価値が、再度グローバルで注目を集める日は近いかもしれません。

野中郁次郎先生との共著『日本企業にいま大切なこと』が、8月31日の日経新聞(夕刊)の書評欄で紹介されました。選者である福井県立大学の中沢孝夫特任教授から「星4つ」(読みごたえたっぷり、お薦め)の評価をいただきました。有難いことです。
お蔭さまで、売り上げも順調。発売2週間ですが、3刷となりました。是非ご一読ください。

[今週の出会い]

 先週の土曜、カラーズ・ビジネス・カレッジ(CBC)の第1回「現場見学ツアー」が行われました。参加者は約20名。今回の訪問先は、先日「現場千本ノック」でもご紹介した通称TESSEIこと鉄道整備株式会社、そしてキリンビール横浜工場の2ヶ所。
 CBCは座学だけでなく、現場訪問やゲストを招いての講話など「生きたビジネスから学ぶ」ことを大きな柱にしています。受講生はたくさんの気付きや学びがあったはずです。もちろん、訪問後は中華街へ繰り出し、懇親会で大いに盛り上がりました。(TESSEIでは私がNHKラジオで同社の取り組みをご紹介したお礼に素晴らしい贈り物をいただきました。それについては、来週のこのコラムでご紹介します。)
 「現場見学ツアー」にはCBCでビジネスインテリジェンス(BI)の講座を受講している方のみが参加できます。第2回は来年2月か3月を予定しています。次回も普段では訪問できない興味深い現場を訪問するつもりです。「現場見学ツアー」に興味のある方は、是非CBCでの受講を検討してください。


 もうひとつ[今週の出会い]をご披露します。仕事で墨田区東駒形を訪問した際に見えた、東京スカイツリーです。遠くから眺めることはよくありましたが、これほど間近で見たのは初めてでした。さすがに存在感があります。
 開業は来年5月22日。展望台からはどんな景色を眺めることができるのか?一度は登ってみたいと思っています。

[今週のシナ]

 ヘアカット前のむくむくのシナです。眠くて、耐えられません。アレルギーによる痒みのせいで、夜はよく眠れず、逆に昼間に爆睡しています。
 身体によくないので、痒み止めの薬(ステロイド)も抑えていて、なかなかよくなりません。去年までは、秋に入り涼しくなると、痒みも治まったので、今年もそうなることを願っています・・・。