Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

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『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.86 北京・長江商学院での講義

[2011-10-31]

 先週、客員教授を務めている中国の長江商学院というビジネススクールで3日間の集中講義を行ってきました。対象は同校のMBAプログラムの学生です。このプログラムは1年制で、毎年60名程度がフルタイムで学んでいます。
 私が長江商学院の客員教授に就任したのは5年ほど前ですが、当初はEMBA(Executive MBA)と呼ばれる経営幹部向けの講座を担当していました。中国の新興企業や国営企業の経営者や役員向けに、上海や香港で1日の集中講義を行っていました。
 一昨年、MBAでも授業を担当しないかとの誘いをいただき、昨年上海で初めてMBAの学生を対象に、「Growth Strategy of Japanese Firms」という講義を担当しました。今年は北京で実施しました。
 私のクラスは、実は彼らにとって卒業前最後のクラスです。既に就職が決まって、仕事を始めた学生も多く、受講生は20名ほどでした。しかし、みんな熱心に授業に取り組んでくれました。
学生たちの平均年齢は約30歳。5年程度の実務経験を持っています。名門・北京大学や清華大学の卒業生も相当数います。

 世界経済を支えるエンジンとして高度成長を続けている中国ですが、ここにきてさすがに息切れ気味です。そうした“空気”に学生たちは敏感で、今年の卒業生の多くは中国の銀行や公的企業(State-Owned Company)を志望する人が多いそうです。少し前までは、起業家や外資系企業(MNC:Muli-National Company)を志望する学生が多かったのですが、リスクをとらずに、保守的になっているのが分かります。
 私の講義内容は、日本企業の成長戦略と現場力が中心です。現場力の話をすると、学生たちは興味を持って聞いてくれますが、最後は「これは中国では難しい」という結論になってしまいます。文化や価値観、制度の違いから、現場力という考え方は中国では根付かないと主張するのです。
 しかし、今年は違いました。ある学生が「中国にも現場力を誇る企業がある」と意見を述べ、「海底捞」(Hai Di Lao)というレストランチェーンの名を挙げたのです。とても良いサービスが評判で、現場の従業員の意見を熱心に吸い上げ、サービス改善に力を入れている会社だと言います。他の学生たちも、「確かにあそこのサービスは素晴らしい」と賛同します。
 この会社の社長は、なんと長江商学院の卒業生だそうです。私の授業をとったかどうかは分かりませんが、中国にも「現場力」というコンセプトが生まれつつあると実感しました。今回はそのお店に行くことはできませんでしたが、次回は是非訪ねてみたいと思っています。

 3日間の講義はあっと言う間でした。朝9時から夕方5時半まで、昼休みを挟んで1日6時間の英語の講義です。昼休みも学生たちとランチに行くので、ほぼ3日間“英語漬け”です。
 くたくたになってホテルに戻り、外食する気も起きずに、ルームサービスで夕食を済ませ、次の日の授業の準備に取り掛かります。そして、11時前にはベッドで横になっていました。
 けっして楽ではありませんが、私自身学ぶこともたくさんあります。大きく変化し続ける中国を実感するのも、貴重な経験です。来年もまた新しい学生たちと会うのが楽しみです。

(お知らせ)
 11月初旬に、日本経済新聞出版社より『「IT断食」のすすめ』(日経プレミア新書)が発売されます。これはドリームアーツ・山本孝昭社長との共著で、私にとって今年4冊目の本です。
 この本ではITの功罪を真正面から議論し、正しくITを使いこなすことの必要性を述べています。「IT中毒」を「断食」によって脱し、「健全なアナログ時間」を取り戻すことが、日本企業の競争力復活にとって不可欠であると主張しています。是非お読みください。

[今週の出会い]

 北京に滞在中、学校とホテル以外どこにも出掛けませんでしたが、3日目の講義が終わった後、北京最大の繁華街・王府井をぶらついてきました。巨大な百貨店やショッピングモールなどがある銀座のようなところですが、ずらっと並んだ屋台も有名です。
 地方からの“お上りさん”で、相変わらずの賑わいでした。屋台は今回も冷やかすだけでパス。どうもあの臭いが私にとっては鬼門です。


[今週のシナ]

 北京から帰宅すると、シナは玄関まで猛ダッシュで出迎えてくれ、キスの嵐!早速、散歩に出掛けました。散歩には絶好の季節です。4日ぶりの散歩だったので、シナに中国の土産話を語りかけながら、たっぷり歩いてきました。