Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.88 空洞化とイノベーション

[2011-11-14]

 11月は講演行脚の日々が続いています。毎週3件程度の講演を全国各地で行っていますが、色々な方々との新たな出会いも多く、私自身数多くのことを学ぶ場になっています。
 先週は中部生産性本部主催のフォーラムが、豊田市の豊田商工会議所で行われ、講演をしてきました。トヨタ自動車のお膝元であり、トヨタ始めデンソーやアイシンなどグループ企業の労組の方々を中心に200名以上の皆さんにご参加いただきました。
 講演の前に、全トヨタ労連会長で、中部生産性本部副会長でもある東正元(あずままさもと)さんとお話をする機会がありました。トヨタグループ33万人の組合員を率いる総帥です。
 東さんは日本の産業の空洞化にとても大きな危機感を表明されていました。特に、日本の産業の基盤である技術力の高い中小企業が、相次いで倒産・廃業したり、中国や韓国企業に買収される、力のあるところは日本を捨てて、海外に出ていくなど、日本のモノづくりを支えてきたピラミッド構造が、音を立てて軋み、崩壊しつつあると懸念されているのです。
 もちろん、その背景には「超円高」があります。円高に加えて、「法人税」「労働規制」「環境規制」「電力供給不安」「FTA(自由貿易協定)への対応遅れ」が「6重苦」と呼ばれていますが、これだけ企業に不利な条件を放置しておいたら、さすがの日本企業も国内に踏みとどまることはできません。そして、こうした動きは、当然、雇用の流出、経済の衰退、地域の荒廃につながっていきます。
 こうした厳しい状況の中で、「政府の無策」を指摘する声は大きく、東さんもその点は同じなのですが、それに加えて、とても重要な点を指摘されていました。「今のトヨタはハイブリッドに依存している。プリウスがなかったらどうなっていたかを考えると、ぞっとする」。
 ご存知の通り、ハイブリッドはトヨタが牽引し、新たな市場を創造してきました。こうした革新的な技術をもとにしたイノベーションが生まれれば、付加価値の高い商品が開発され、円高の状況であっても、日本にモノづくりは残るはずです。東さんが「ハイブリッドに依存している」と指摘されるのは、「ハイブリッドの“次”が見えてこない」という懸念の表明でもあります。
 これはトヨタに限らず、日本の製造業に共通した最大の経営課題のひとつです。とかく新興国の巨大な需要にばかり目が行き、「世界をアッと言わせる」ような革新的な価値の創造、すなわちイノベーションに力が入っていないような気がしてなりません。いつの間にか、みんなが同質的競争に陥ってしまっているのです。
 円高などの目先の問題に対処するあまり、「どこで」作るか(日本か、海外か?)ばかりが議論されがちですが、より重要なのは「何を」作るかということです。日本独自の技術を背景にした付加価値の高いイノベーションを生み出し続けることができれば、結果として日本にモノづくりは残り、雇用も確保されるはずです。
 政府の無策ばかりを嘆いていても、建設的な議論にはなりません。「イノベーションにこそ日本の未来はある」と再認識した出会いとなりました。

[今週の出会い]

 忙しい日々が続く中で、唯一の憩いの時間は朝のシナとの散歩です。雨上がりの早朝、散歩に出かけようとすると、とてもきれいな朝焼けと出会いました。「きれいだね~・・・」と思わずシナに語りかけていました。

[今週のシナ]

 シナは月に一度のヘアカットに行ってきました。シャンプーもしてもらったので、フカフカです。今回はとてもきれいなグリーン色の綿帽子のような髪飾りを付けてもらいました。本人は不満そうですが・・・。