Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.96 OE研究会

[2012-01-23]

 先週金曜に第23回OE研究会を早稲田大学で開催しました。これは早稲田大学ビジネススクールの遠藤研究室が年に1~2回、外部のゲストスピーカーを招いて開催する勉強会です。OEとはOperational Excellenceの略で、現場力という視点でゲストを選び、直接お話を伺う学びの場としてコツコツと続けています。
 今回は東日本大震災の被災地である陸前高田市の久保田崇副市長、コンテナ商店街の立ち上げに奔走される橋詰真司さん、智早子さんご夫妻をゲストとしてお招きし、お話を伺いました。当日の天候はあいにくの雪模様だったにも関わらず、120名の皆さんに足を運んでいただき、会場はほぼ満席でした。
 最初にご登壇いただいたのは、久保田副市長。35歳の新進気鋭の官僚マン。内閣府から陸前高田市に派遣され、復興の陣頭指揮を執られています。数多くの現地の写真を用いて、陸前高田の復興の取り組みについてお話いただきました。
 復興計画は5~8年がかりの長期戦にならざるをえません。被災地の人々の現在の最大の関心事は、「いつ仮設住宅から出られるか?」ということ。“仮設”ではなく、“普通”の住居に早く移りたいという願いは当然のことです。
 しかし、そのための土地の手当ては容易ではありません。津波に遭った海側の土地は地盤沈下してしまい、山合いの土地を確保するにも、山を切り崩さなくてはなりません。地盤沈下してしまった土地を市が買い上げることになっているそうですが、果たしていくらの値を付ければよいのか?住宅ひとつとっても、難問山積です。そこに、瓦礫の処理、インフラの再整備、産業誘致、雇用の確保、医療など、すべてのことを同時並行的に進めていかなくてはなりません。使命感がなくては、とてもできることではありません。
 メディアでは官僚批判ばかりが闊歩しますが、久保田さんのような官僚マンがいるということを私たちは知らなければなりません。「批判」ではなく、「信頼」と「感謝」が官僚を育て、活かすと私は思っています。
 その後、橋詰ご夫妻と私のトークセッションに移りました。なぜ「コンテナ商店街」が必要なのか、どのような課題に直面しているのかなど、被災地で立ち上がろうとしている人たちの生の声を聞くことができました。
 「援助は有難いけど、“援助漬け”になってはダメ。自分でお金を払って、買うという当たり前の生活に早く戻したかった」、「だから、被災して2ヶ月あまりの5月には、昔から続く朝市を再開した」など、被災した人たちの心の襞を垣間見たような気がしました。

 被災地では「非日常」的な苦しみや困窮生活が常態化し、それが「日常」となってしまいかねません。早く本来の「日常」を取り戻すこと。「コンテナ商店街」にはそんな思いが込められているのです。
 智早子さんのコメントが印象的でした。「今回、東京に出てくるために髪をなんとかしようと、被災後初めて お店でヘアカラーを買った。ちょっとワクワクしている自分がいた。その時、そうした気持ちを被災してからずっと失っていたことに気付いた」。「コンテナ商店街」の立ち上げは、「町の復興」だけでなく、人々の「心の復興」につながっていくのかもしれません。
 「コンテナ商店街」は1月末にコンテナ4~5基を使い、第1段がオープンするとのこと。まだまだ緒に就いたばかりですが、少しずつ「形」になることを期待しています。このコラムの読者の皆さんも、陸前高田訪問の際には是非お立ち寄りください。
 ご参加いただいた皆さんから寄せられた義援金は20万円を超え、会の最後に橋詰ご夫妻に手渡しました。嬉しいことに、久保田さん、橋詰ご夫妻のお話を伺った後に、さらに追加の義援金を申し出ていただいた方が何人もいて、数万円を追加でお渡しすることができました。ありがとうございました!

[今週の出会い]

 OE研を告知する立て看板の前で、久保田さん、橋詰ご夫妻との記念ショット。久保田さんは今年の3月11日前におそらくメディアで繰り広げられるであろう「被災後1年」の“狂騒”後にくる「風化」を心配されていました。
「忘れないこと」。これが私たちにできる大切な支援です。これからもできることを継続的に支援していきたいと思っています。

[今週のシナ]

 「シナと舎弟」シリーズ第2段!我が“舎弟”・得能暢高君は飲んだくれて、ソファーで酔いつぶれています。その隣で、“舎弟”の巨体に押し潰されそうになりながら、シナが寄り添っています。「困ったもんだ・・・」とカメラ目線で呟いています。