Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.99 過去‐現在‐未来

[2012-02-13]

 新日鐵八幡製鐵所での講演のため、北九州を訪ねてきました。1901年操業開始の官営八幡製鐵所を原点とするここ新日鐵八幡製鐵所は、日本の近代産業の歴史そのものでもあります。
 数多くの施設や設備が、経産省の近代化産業遺産として認定されています。将来的には、世界産業遺産への申請も視野に入れているようです。1901年に最初の火入れが行われた東田第一高炉は、広場として一般に公開されています。

 そのすぐ隣には、スペースワールド。製鐵所の遊休地を活用して1990年に開業したテーマパークです。開業時には大きな話題になりました。
ピーク時には216万人(1997年度)の来場者がいたそうですが、徐々に減少。多額の累損を抱え、2005年に新日鐵から北海道のリゾート運営会社・加森観光に営業権が譲渡され、再建が図られています。
 産業遺産化や遊休地活用が進んではいますが、八幡製鐵所は現役の製鉄所です。ピーク時には八幡地区だけで6基の高炉があったそうですが、今では戸畑地区にある400万トン級1基のみ。
 敷地面積は現在でも東京ドーム210個分に相当しますが、かつてはその数倍あったそうです。最盛期の従業員数は、直営社員だけで3万人。協力会社を含めると約10万人がこの製鐵所で働いていました。現在の直営社員は約3千人。規模という面で見れば、かつての面影はありません。
 しかも、ご多聞にもれず、超円高、原料高、熾烈なグローバル競争の波は、この歴史ある製鐵所を飲み込もうとしています。2011年10~12月期の鋼材生産量は、約92万トン。対前年比で約15%減少しています。リーマンショック以降初めて100万トンの大台を割り込んでいます。タイの洪水の影響による海外向けの自動車鋼板の落ち込みが大きな要因ですが、韓国や中国勢が台頭し、世界的な供給過剰が起きている中で、構造的な問題に直面しています。
 しかし、そうした苦戦が続く中で、「軌条」と呼ばれるレールのビジネスが好調で、この超円高にも関わらず海外向けが伸長し、収益貢献をしているという話を伺いました。
 主な輸出先は米国やオーストラリアなど。新日鐵のレールは世界でも最高品質であり、砂漠などの厳しい環境下でも十分に耐えうるだけでなく、レールのメンテコストが軽減することによって、コストパフォーマンスも高いという評価を得ているとのこと。
 どこでもつくれるものをつくっていたのでは、ますます巨大化し、「体格」で勝負を挑んでくる海外勢に太刀打ちできません。「八幡でしかつくれない」ものに徹底的にこだわり、「体質」で勝負することこそが、未来に勝ち残る唯一の道です。
 言うまでもなく、その道のりはけっして容易ではありません。しかし、八幡製鐵所を「過去」のものとして切り捨ててしまうのではなく、新しい「未来」への扉を切り開くには、この苦しい「現在」を一丸となって乗り切るしかありません。八幡製鐵所に日本のモノづくりの「縮図」を見た思いがしました。

[今週の出会い]

 北九州に向かう時に、羽田空港のJALのラウンジから富士山がくっきりと見えました。毎朝、シナと散歩で出かける公園からは、富士山を望むことができるので、いつもシナと一緒に(?)拝んでいます。
公園から望む富士山は、丹沢の山並みに遮られて富士山の頂上に近いところしか見えません。しかし、丹沢の山の上に、朝日でピンク色に染まった富士山の雪景色が浮かぶ景色も、実に風情があります。「表情」の違う富士山を眺めるのは本当に楽しみです!

[今週のシナ]

 シナはバブルバスにつかって、青色のちょっとド派手な髪飾りをつけてもらいました。もう5歳の“おじさん”にはどうかと思いますが、ペットショップのお姉さんに、「シナちゃん、かわいい!」と言われて、まんざらでもない様子でした。5歳になって益々「女性大好き」のシナです。