Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.215 日本電子・栗原社長

[2014-07-14]

7月7日に早稲田大学ビジネススクールの授業「総合経営」のゲストスピーカーとして、日本電子の栗原権右衛門社長にご登壇いただきました。天竜精機・芦部社長に続く、二人目のゲストスピーカーです。
 日本電子は「現場千本ノック」でも3回取り上げている日本の誇るハイテク企業です。(第9話、第44話、第61話)海外では「JEOL」の名でトップサイエンティストたちの間で知られています。
 JEOLの電子顕微鏡がなければノーベル賞はとれないと囁かれるほどの高い技術と技能を誇る企業です。電子顕微鏡のみならず、豊富な理科学・計測機器のラインアップを持ち、世界の科学研究者たちに総合的なソリューションを提供できる唯一の会社といってもよいでしょう。
 それだけの技術を持ちながらも、業績は低迷していました。2008年度には赤字転落。その時、社長に就任したのが栗原さんでした。

 しかも、社長就任直後にリーマン・ショックに見舞われました。構造的な赤字とリーマン・ショックという二重苦の中で、栗原丸は船出しました。
 栗原さんは痛みを伴う構造改革を断行しました。数百名規模のリストラ、受け皿のためにつくられ、温存されていた関係会社群の整理・統合、グループ全体での取締役数の大幅削減、ノンコア事業からの撤退など、痛みの伴う改革を矢継ぎ早に実行しました。
 これらの問題点は誰もが気付いていながら、手をつけず、先延ばしにされてきたものでした。その実行を栗原さんは英断したのです。
 4年越しの構造改革に目途が立ち、栗原さんは新たな成長へと舵を切りました。それまでの日本電子はいくら素晴らしい製品を取り揃えていても、事業部間の連係が悪く、総合力を活かすことが得意ではありませんでした。
 栗原さんは「YOKOGUSHI」(横串し)戦略を打ち出し、組織の縦割りを打破し、若手を事業部長クラスに抜擢するなど、攻めの戦略に転換しました。そうした施策が功を奏し、2013年度には史上最高益を記録するというV字回復を果たしたのです。
 1時間ほど栗原さんにこれまでの改革ストーリーを語っていただき、その後私との対談スタイルに切り替えました。学生たちからは興味深い質問が数多く出され、授業時間はアッと言う間に過ぎていきました。やはり実践者からの学びはとても刺激的です。
 印象的だったのは、栗原さんの「自然体」でした。歴代の社長はすべて技術屋で、栗原さんは初の営業出身者。しかも、主力である電子顕微鏡の経験がありません。
 そんな「傍流」の栗原さんが、危機の時の社長に就いたのです。栗原さんは「社長は『ポジション』ではなく、『ファンクション』。私の役割を果たしているだけ」と淡々と話されます。
 しかし、そこには「やるべきことをきちっとやる」という大きな覚悟が見え隠れします。真のリーダーシップとは何かを大いに学ぶ授業となりました。

[今週の出会い]

 その栗原さんから山形のさくらんぼをたくさん贈っていただきました。日本電子は山形にグループ会社の工場を持っています。そこで働いている方の中には、さくらんぼ農家の方もいるそうです。
 旬のさくらんぼのみずみずしさはたまりません。食べ始めると、止まりません。

[今週のシナ]

 季節の花と一緒にシナを撮ろうとしたら、少しアップになってしまいました。7歳になったシナ。当然ですが、大人になりました・・・。