Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.319 撤退戦

[2016-10-10]

9月25日(日)に放送されたNHKスペシャル『縮小ニッポンの衝撃』はまさに衝撃的な内容でした。メディアでは人口減少、高齢化、過疎化という言葉が頻繁に登場しますが、東京にいたのではなかなかその現実を受け止めることはできません。
 地方に出かけることが比較的多い私でも、断片的、一面的な事象を垣間見ることはあっても、そこで暮らす人たちの眼の前の現実を知ることはとても難しいことです。今の日本で何が起きているのかを思い知らされる好番組でした。
 番組で出てくる言葉は、「消滅」「縮小」「撤退」といったネガティブな言葉ばかり。しかし、その現実を真正面から受け止めなければ、日本に未来などありえません。
 1920年(大正9年)に5600万人だった日本の人口は約100年かけて倍以上に増えました。しかし、これから起きる現実は「人口の急降下」。100年かけて2倍になった人口が、これから数十年でまるでジェットコースターのように一気に縮むのです。町も行政もインフラも今までと同じように持ちこたえられるはずがありません。
 昔と同じ人口になっても、若い人たち中心の社会であれば希望は見えます。しかし、現実に待ち受けているのは高齢化社会。何も手を打たなければ、地方消滅どころか日本消滅になってしまいます。
 最盛期に11万人が住んでいた北海道の夕張市の人口は9千人以下。夕張市が今進めているのが、人口に合わせて行政サービスを縮小させる「撤退戦」。必要最低限のサービスまで徹底的に切り詰めることをしなければ、町の維持そのものが困難な状況です。消滅という事態を避けるためには、「ここまでせざるをえないのか・・・」という思い切った縮小、撤退を進めるしかないのです。
 その一方で、縮小、撤退だけでは夢も希望もありません。大きく羽ばたくことはなくても、地方の町や村が少しでも元気になるような「町おこし」「村おこし」といった活性化のための活動を同時に進めなければ、持続可能な施策とは言えません。
 私はかねがね日本企業は「体格」を追求するのではなく、「体質」を追求すべきだと主張してきました。世界のビジネスの潮流は「規模の論理」です。確かに、規模は最も分かりやすい優位性の源泉であり、その追求を否定するわけではありません。
 しかし、たとえ「体格」で劣っていても、「体質」が良ければ必ず勝ち残る道はあるはずです。逆に、図体ばかりが大きくても、「体質」が劣化してしまっては元も子もありません。豊洲や五輪招致で大揉めの東京都はその最たる例でしょう。
 地方の市町村にとって、東京都はまさに反面教師です。図体のでかさがあの無責任体質を生み出す温床です。
たとえ小粒でも、「体質」の良い町や村はsustainableなはずです。「体格」面では縮小を進めつつも、「体質」を磨く。その両方の努力が今求められているのだと思っています。

[今週の出会い]

 お土産でいただいた「かもめの玉子」の季節限定栗バージョンです。「かもめの玉子」は岩手県大船渡市にあるさいとう製菓がつくる人気のお菓子。私もよく買い求めますが、栗バージョンは初めて!
これが実に美味しい!ほくほくとした食感がたまりません。新著のゲラチェックの合い間のひと休みに最適です。

[今週のシナ]

 先日、ハロウィーンの被り物を乗せたシナを紹介しましたが、本人は困惑気味だったので再挑戦。今回はなんとか成功。でも、相変わらず本人は迷惑そうでした・・・。