Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.348 うちには思想と人しかない

[2017-06-05]

 5月25日にドリーム・アーツ主催の「現場からドライブする『働き方改革』フォーラム」がベルサール半蔵門ホールで開催されました。政府主導で進められ、ビジネス界で大きな関心を持たれている働き方改革をテーマにしたセミナーなので、当日は450人もの皆さんにお集まりいただき、大盛況でした。
 フォーラムでは3人が登壇。良品計画会長の金井政明さんが同社の働き方改革の秘訣を披露された後、ドリーム・アーツの山本孝昭社長が現場から働き方改革をドライブするソリューション「知話輪」の紹介をされました。その後、私が仕事の断捨離を中心に仕事改革の話をさせていただきました。
 なかでも、良品計画・金井さんのお話はとても興味深いものでした。私は同社の社外取締役を務めていますが、同社が近年なぜ高い業績を続けているのかの秘密を改めて再認識しました。
 金井さんは「うちには何もない。思想と人しかない」と語っています。何気ない言葉ですが、この指摘は実に深いものであり、経営の本質をついています。金井さんの言葉を逆説的に考えれば、「思想と人さえあれば、良品計画のような経営はできる」ということでもあります。
 無印良品は「わけあって、安い」をキャッチフレーズに1980年に西友のプライベートブランドとしてスタートしました。生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくることにこだわり、シンプルで美しい商品のラインアップを広げてきました。
 その根底には「これがいい」ではなく「これでいい」というきわめて普遍的かつユニバーサルな価値観があります。無印良品が提案する「感じ良いくらし」は世界中で広がっています。
 良品計画で働く人たちは、こうした考え方、価値観に心から共感し、仕事を通じてそれを体現しようと日々奮闘しています。無印良品という思想が人に乗り移り、それが商品というかたちになり、世界中の多くの消費者に受け入れられているのです。
 私たちは経営というものをあまりにも小難しく考えすぎているのかもしれません。戦略をどうすべきか、組織はどうあるべきか、どのような制度を整えなくてはならないのか、ガバナンスはどうしたらいいのか、ITをどう活用したらよいのか・・・。経営に必要だとされる様々な要素を個別に考え、それぞれについては手を打っているつもりですが、何かが足りない、どこか物足りないという空虚感を感じているのも事実です。
 経営として対処しなければならない項目は増え続け、さらに複雑性を増しています。しかし、たとえそれらを充たしても、「よい会社」に近づけるわけではありません。
 すべての会社は、ビジョン、思想、思い、志からスタートします。そして、経営をするためには人が不可欠です。その二つこそが経営の原点です。思想が人に乗り移り、人が思想に共感し、二つの要素がひとつに重なり合った時、組織はとてつもなく大きな力を発揮します。
 しかし現実には、せっかく高邁な思想やビジョンが存在しても、それが単なる飾りもので終わってしまっている会社が実に多い。思想と人がひとつになっていないのです。その状態を放置したまま、たとえ他の要素を整えたところで、「よい会社」にはなれません。「よい会社」になるためには何が必要なのかを改めて考えさせられるフォーラムでした。

[今週の出会い]

 5月27日(土)、秩父宮ラグビー場でスーパーラグビー、サンウルブズvsチーターズ(南アフリカ)の試合を観戦してきました。世界最高峰のリーグであるスーパーラグビーに日本のチームとして昨年から参加していますが、強豪揃いの中で苦戦を強いられています。
 この試合も後半に突き放され、残念ながら完敗。イベント企画やファンサービスなどで盛り上げる努力はしていますが、勝つことこそが最大のファンサービス。これからに期待しましょう!

[今週のシナ]

 シナはトリミングにいって、さっぱりしてきました。幼な顔のシナはフカフカです。あまりに気持ちいいので、スリスリしていると、嫌そうな顔をして逃げていきます・・・。