Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.382 良寛の足跡

[2018-03-26]

 新潟県長岡に講演で出向いた際、午前中の時間がぽっと空いたので、良寛和尚の足跡を辿ることにしました。良寛は私にとってお手本とすべき偉人です。中野孝次の『風の良寛』は30代の頃に読んで以来、ずっと私の手元にあります。
 無一物の暮らしに徹し、それでも子供たちと戯れたり優游と生きた良寛。ものやお金に執着せず、棄てることの大切さを私に教えてくれました。そんな良寛の足跡をいつか追ってみたいとずっと思っていましたが、そのささやかな夢が叶いました。
 レンタカーで良寛生誕の地、出雲崎へ。小一時間の運転中は、心が弾んでいました。まずは、良寛記念館を訪ねました。良寛の漢詩や書簡などが展示されています。
 私以外に誰一人いない静謐な空間。良寛和尚の直筆の書に囲まれていると、まるで和尚と対話をしたような気分になります。とても贅沢な時間でした。

 その後、鄙びた出雲崎の街を散策し、良寛の生家があった場所に建つ良寛堂や得度した光照寺などを訪ねました。それなりに満足し、長岡に戻ろうと思いましたが、まだ少し時間があります。
 それならばと燕市にある分水良寛資料館を訪ねることにしました。ここでも良寛和尚の書を楽しむことができました。
 その資料館の方が、「五合庵は訪ねられましたか?」と聞いてきました。五合庵は良寛が40歳頃から定住し、20年ほどを過ごした良寛ファンにとっては聖地です。
 本来なら真っ先にでも行きたいところなのですが、山中にあり、まだ雪の残っているこの時期に訪ねることは難しいだろうと諦めていたのです。「五合庵行けるんですか?」と尋ねると、「山道はちょっと大変だけど、行けないことはないですよ」とのこと。
 「よし、ここまで来たのだから、行ってみよう!」と車を走らせました。五合庵は開山1300年の歴史を持つ越後最古の名刹、国上寺の敷地内にあります。
国上寺をお参りしてから、五合庵への山道を辿ります。雪はほとんど残っていないのですが、木の枝や葉が道を覆い、ぬかるんだ道を行くのは結構大変。たいした距離ではありませんが、皮靴が汚れるのを気にしながら、歩を進めました。
 そして、念願の五合庵と対面。鬱蒼とした林の中にひっそり佇む簡素で古びた庵。そこに身を置くだけで、心が洗われます。私はしばし動くことができませんでした。

 中野孝次は『風の良寛』の中でこう書いています。「この世のどこにも所属せず、何をも所有しないという徹底した生き方に賭けたのだ」。私にそんな生き方はとても真似できませんが、良寛和尚の教えはいつも大切にしたいと思っています。

[今週の出会い]

 越後の銘酒・久保田萬壽をいただきました。良寛はささやかな楽しみとして酒をたしなみました。阿部定珍という分水町の庄屋は酒を持参して五合庵を訪ね、良寛と交流したそうです。良寛に思いを馳せながら、楽しみたいと思います。

[今週のシナ]

 散歩の後、枕にあごを乗せ、うつらうつらするシナです。桜を愛でながらの散歩のシーズン到来!たっぷり春の散歩を楽しみたいと思っています。