Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

各種メディア、各種媒体での掲載とその概要を紹介します

一流のビジネスパーソンを目指す人のための総合型ビジネススクール「カラーズ・ビジネス・カレッジ」を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.10 Supervisory Board

[2010-03-15]

 先週、1泊3日の日程でドイツ・ベルリンに出張してきました。ほとんど“罰ゲーム”のような出張ですが、その目的はローランド・ベルガードイツ本社のSupervisory Board(SVB)への出席です。今回は日本ではあまり馴染みのないSVBについてお話しましょう。
私は3年前からSVBのメンバーを務めています。SVBというのはドイツでは一般的な企業ガバナンスの仕組みです。日本語に訳すと、「経営監査委員会」となるのかもしれませんが、非常に強い権限を持っている委員会です。
 ローランド・ベルガーワールドワイドの執行上の最高意思決定機関はExecutive Committee(EC)と呼ばれるものです。ECはCEOを長に、5名のメンバーで構成されています。その内訳はドイツ人3人、フランス人1人、そしてポルトガル人1人です。

 SVBはそのECの上部に位置付けられるもので、経営上の重要事項はSVBの承認なくしては進められません。SVBのチェアマンは創業者でもあるRoland Berger氏です。70歳を過ぎた今でも、現役バリバリで、世界中を飛び回っています。(写真はBergerさんとのツーショット)
 大変光栄なことに、私は3年前にSVBのアジア初のメンバーに選任されました。私以外はドイツ人3人、オランダ人1人の計5名で構成されています。
 SVBは原則年に4回開催されます。場所はベルリンかミュンヘンで行われることが多いです。私は大概、1泊3日の“弾丸ツアー”で出席します。残念ながら、美味しいものを食べたり、風光明媚なところに足を延ばす余裕はありません。

 
 委員会は朝10時頃から夕方4時頃まで、まったく休憩なしにビジネスライクに進められます。あらかじめECから分厚い資料が配られ、それをもとにSVBメンバーが様々な角度から突っ込みを入れます。
 時には大激論になったり、SVBが納得できないものは再検討のため、差し戻しになることもしばしばです。昨年11月のSVBでは、2010年度の各国の予算について議論が紛糾しました。
 どの国も厳しい経営環境にあるので、比較的コンサバティブな予算案を上げてくるのですが、イタリアは非常に強気な数字を上げていました。ラテンの乗りなのか、イタリアやスペイン、南米などは比較的楽観的な見通しを出してくることがたびたびです。これも“お国柄”でしょう。
早速、SVBメンバーの一人が「この数字の根拠は何だ?」とイタリアを担当しているECメンバーに突っ込みを入れます。もちろんイタリアの予算にもそれなりの裏付けはあるのですが、ドイツ人から見るとその裏付けそのものがあまりにも楽観的に映るのでしょう。結局、イタリアの予算は差し戻されることになりました。
ローランド・ベルガーはドイツを起源とするコンサルティング会社です。売上に占めるドイツの比率は50%以下になりましたが、やはり欧州が主体の会社です。
大手コンサルティング会社がひしめく米国においては、競争が激しく、なかなか存在感のある地位にまで上がれませんが、日本、そして中国を柱とするアジアには相当力を入れています。また、中東やトルコ、北アフリカのモロッコなどこれからの「成長エンジン」となるであろう諸国にもオフィスを次々と開設しています。

5年後、10年後にこの会社のSVBやECがどのようなものになっているかは全く予測がつきません。それは10年前に日本人がSVBのメンバーになるなどと考えたドイツ人がおそらく誰もいなかったのと同じことです。
そうした変化がもっとドラスティックな形で、これから起きてきます。逆に、起こさなければ、ローランド・ベルガーの成長はありえません。グローバル化の波、新たな力の台頭に翻弄されているのは、けっして日本だけではありません。古い文化、伝統を背負っている欧州も、新たな潮流についていくのに必死です。
今まで以上に多様な価値観やマインドを持つ集団をどのように束ねていくのか?Caos Management(混沌のマネジメント)に長けた企業こそ、21世紀の覇者なのかもしれません。

 「未来のスケッチ」が朝日新聞の書評欄(3月14日)で紹介されました。ジャーナリストの勝見明さんが、私が本書で伝えたかったポイントを見事に指摘してくれています。本当にありがたいかぎりです!

[今週の出会い]

 三菱電機元副社長の亀田博さんとのショット。当時、人事部におられた亀田さんのお蔭で私は三菱電機に入社し、入社以降も大変目をかけていただきました。にもかかわらず、約10年で私は三菱を退職。大変なご迷惑をお掛けしました。退職を決めた私を翻意させようと、約20年前に二人きりで会ったのが今回食事をした新橋の「浜」というお店。当時、名古屋で部長を務められていた亀田さんは、私を説得するためだけに何度も上京してくれました。私にとっては一生忘れられないお店です。雑居ビルの地階で、北海道出身のママがひとりで切り盛りしている小さなお店ですが、その味は本物!20年前はその美味しい食事も喉を通りませんでしたが、今回はお酒と共に堪能しました。

[今週のシナ]

 カエルの雨合羽を着たシナ。まだ小さい時に買った雨合羽なので、成長したシナには小さく、ピチピチです。小雨くらいなら、この雨合羽を着て、散歩に出かけます。濡れるのが嫌なのか、最初は躊躇しますが、いったん歩き出すといつも通り元気に歩き出します。さすがにもうカエルは可哀想なので、もう少しかっこいい雨合羽を買ってあげるつもりです。