Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.419 いい人生に選ばれる

[2019-02-18]

 毎月送られてくる『味の手帖』という小ぶりの雑誌があります。「上質な食文化を追求する、食通のための月刊誌」で、著名人による食に関するエッセイが中心となる内容です。
 創刊は1968年。50年以上続く食通の間ではよく知られた上質な雑誌です。銀座あたりの名店に置かれているので、眼にした人も多いかもしれません。
 その巻頭シリーズが、牛尾治朗さんの対談です。牛尾さんはウシオ電機の設立者で、有名な財界人です。
 その牛尾さんが、毎回著名なゲストを招き、食事をしながら対談をするという企画です。私は毎号この対談を楽しみにしています。人生経験豊かな牛尾さんのウィットに富んだコメントがとても勉強になります。
 2019年2月号のゲストは、芸能プロダクション渡辺プロダクション社長の渡辺万由美さん。日本の芸能事務所の草分け的存在である渡辺プロダクションの創設者である渡辺晋氏の次女として生まれ、現在は社長を引き継がれています。
 その対談における牛尾さんのコメントが、実に含蓄がある。「人生における努力」についてのやりとりですが、渡辺さんが「少しは努力しなくては」と言われると、こう切り返しています。

「いいえ、努力はしなくていいのですよ。どうすればいい人生に選ばれるかということですから。選ばれるということは、常に受け身で謙虚であったということでしょう。そうしてここまでうまく来ているわけですから、いい生き方をしているわけで、自分のこれまでの生き方をよく振り返って、なぜそれができたのか、いい部分はどこなのかということを、自分自身で考えることです。失敗した理由は割とわかるのですが、成功した理由というのは、意外と本人はよくわからないものです。なぜ成功したのか、それを少しでもわかるようにするといいと思いますよ。(中略)うまくいっている時というのは、やはり世の中の全般的にいい風が吹いているものです。そのいい風がどこから吹いてきたのか、誰が吹かしているのか、いろいろな理由があるわけですが、その風を素直に受け取って大切にするという生き方は必要ですね。」

 人生で成功するためには、才能や努力が必要なのは言うまでもありません。でも、どんなに才能があり、どんなに努力をしても、「いい人生に選ばれる」とは限りません。
 人生は「選ぶ」と「選ばれる」の二つで成り立っています。「選ぶ」ことは人生を主体的なものにします。一度限りの人生、主体的に生きることが大切なのは言うまでもありません。
 でも、本当に大切なのは「選ばれる」ことだと私は思っています。「選ばれる」ことこそが、人生を豊かで実りあるものにします。
 私のこれまでの人生を振り返ってみても、自分で選んだように思っていますが、実は選ばれてここまでやってこられたのだと感じています。そのご縁にただただ感謝するだけです。
 「いい人生に選ばれる」ために必要なのは、才能や努力だけではありません。それが何かを考え、自覚することが大切なのだとあらためて気づかされました。

[今週の出会い]

 最近読んで面白かった本が、芝田暁著『共犯者』(駒草出版)。芝田さんは梁石日著『血と骨』などのベストセラーを数多く手掛けた編集者。
 編集者とは「主犯者」である著者の「たくらみ」を遂行する一部始終に立ち会う「共犯者」だと、芝田さんは指摘します。
 30冊以上の本を出版してきた私も、これまでに10人以上の編集者の皆さんとお付き合いしてきました。彼ら・彼女らがいなければ、私の「たくらみ」が世に出ることはありませんでした。
 本を出版するという行為を、編集者の立場、目線から読み解いていて、とても勉強になりました。

[今週のシナ]

 小春日和の中、公園を散歩するシナです。寒い時の散歩は早足になり、すぐ帰ろうとしますが、暖かい日だとのんびり、ゆっくりと外の空気を楽しみます。陽射しを浴びながらのシナとの散歩、かけがえのないひとときです。