Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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早稲田大学大学院教授、株式会社ローランド・ベルガー会長を務める遠藤功のプロフィールを紹介します

講演活動についての概要を紹介します

『現場力を鍛える』『見える化』など、遠藤功の書籍を紹介します

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一流のビジネスパーソンを目指す人のための総合型ビジネススクール「カラーズ・ビジネス・カレッジ」を紹介します

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.422 ナレッジワーカー

[2019-03-11]

 3月2日(土)に岐阜に行ってきました。ムダ取りで有名なPEC協会が主催する第31回改善実践リーダー集会に招かれ、講演をさせていただきました。全国から約200人が集まり、盛会でした。
 ご存知の方も多いと思いますが、PEC協会は山田日登志会長が40年前に立ち上げられた会社で、日本のモノづくり企業における現場改善の指導、改善に取り組もうとする人材の育成に長年に亘って尽力されています。NHKをはじめとする様々なメディアでも紹介されています(写真は山田会長が講演されている時のものです)。
 当日は、講演の前に5組の事例発表を聞かせていただきました。どの事例もさすがPEC協会に鍛えられた人たちの取り組みで、泥臭いながらも「なるほど」と思わせる地に足の着いたものばかりでした。
 なかには、IoTを活用した改善事例などもあり、デジタル化の波が現場改善の取り組みにも及んでいることをあらためて実感しました。
 発表された皆さんは、現場力を支えるまさにナレッジワーカーの人たちでした。ナレッジワーカーとは知恵を生み出す人たちのこと。社会学者のドラッカーが生み出した言葉で、「知識労働者」と訳されています。
 海外の企業の現場で働く人たちのほとんどはマニュアルワーカー。マニュアル通りに仕事をこなすことだけが求められ、知恵を生み出し創意工夫するようなことはしません。
 それに対し、日本企業は現場で働く人たちの気付きや知恵、アイデア等をもとに改善を地道に積み重ねることで、競争力を確保してきました。日本企業の競争力の源泉である現場力は、まさにナレッジワーカーによって支えられているのです。
 しかし、現実を見れば、日本企業の現場でも、ナレッジワーカーが見当たらなくなっています。いつの間にかマニュアルワーカーばかりになってしまい、その結果、現場力が著しく劣化してしまっています。
 この状況を放置しておいたままでは、日本にモノづくりの現場は残りません。マニュアルワーカーでよければ、人件費の安い海外でモノをつくったほうが安くつくに決まっています。知恵を生み出し、創意工夫に優れたナレッジワーカーがいるからこそ、日本でモノをつくる意味があるのです。
 それでは、どうすればナレッジワーカーは育つのか?残念ながら、知識詰め込み型の研修をどれほどやっても、ナレッジワーカーを育てることはできません。

 ナレッジワーカーを育てる唯一の方法は、自ら改善を実践し、経験を積むしかありません。現場での改善の実践こそがナレッジワーカーを育てる唯一絶対の方法論なのです。
 目の前の問題に真摯に向き合い、試行錯誤しながら改善を試してみる。そして、改善の効果や喜びを体感する。泥臭いけど、それでしかナレッジワーカーは育ちません。ナレッジワーカーは日常の中で育つのです。
 皆さんの事例発表を聞き、あらためて日常における実践の重要性を再認識することができました。

[今週の出会い]

 岐阜のお土産といえば、「登り鮎」。明治41年創業の老舗・玉井屋本舗の銘菓です。宮内庁御買上の逸品は、上品な味わいで、私好みです。姿かたちも愛らしい!

[今週のシナ]

 公園をお散歩中のシナです。暖かい陽射しを浴びながら、のんびりゆったりシナと散歩する時間は、何物にも代えがたい至福の時です。