Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.11 広西チワン自治区訪問記(1)

[2010-03-23]

 先週、中国・広西チワン自治区の南寧、欽州という二つの街を訪問してきました。広西チワン自治区は日本人にはまだ馴染みがありませんが、高度成長を続ける中国においても、最も注目されている地域のひとつです。山水画のような風光明媚な観光都市、桂林も広西チワン自治区ですが、今回訪れた南寧、欽州は沿岸部に近い所に位置しています。
 今回のメインの目的は欽州にあるTalent International College Guangxi(TICG)という学校を訪問することでした。TICGは日本でいうところの「専門学校」もしくは「短大」です。2006年開校ですから、その歴史はまだたった4年です。しかし、既に在校生7500人を抱える学校に成長しています。驚くほどの急成長です。

 学長兼CEOは候振梅(ホウチェンメイ)さん。まだ若い女性起業家です。私が客員教授を務める長江商学院というビジネススクールの講義に彼女が参加し、「ぜひ自分の学校を見てほしい」と懇請され、今回の訪問が実現しました。中国には数えきれないほど行っている私ですが、広西チワン自治区は初めてですし、なにより急成長しようとしている中国地方都市の学校をこの目で見てみたいと思い、行ってきました。
 TICGは設備面でも、カリキュラムの面でも、まだまだ発展途上で、正直洗練されていません。開校4年ではやむをえないでしょう。しかし、そこで働くスタッフや学生たちは意欲に満ち溢れています。学生は7500人全員、そして400人いる教員、スタッフの多くもキャンパスで一緒に生活をしています。学長のチェンメイもキャンパスで生活をしています。ひとつにまとまって「学校を一緒に作っていく!」というエネルギーをひしひしと感じます。

 TICGは実業界で即戦力になる学生を育成することを目的にしています。ですから、コースも大変ユニークなものです。英語などの語学力はもとより、空港マネジメントやホテルマネジメント、ゴルフコースマネジメントのサービス系や港湾管理や海事管理、国際貨物などの物流系、さらには建設工程管理や測量などの建築系など実務と専門性を磨くカリキュラムが編成されています。
 今、中国では大卒者の就職難が深刻です。これだけ人が足りないと言われているのに、大卒者の就職率は80%にすぎません。大学を卒業したのだからよい会社に入りたい、よい仕事に就きたいと「選り好み」をし、結局は就職機会を逃しています。日本のビジネススクールで中国人留学生が増えているのは、こうした学生がより高い学歴を求めて、やってくるというのも一因です。

 しかし、TICGの就職率は100%です。しかも、学生の質が高いと大変評判がよいとチェンメイは誇らしげに語っていました。実務を担える人材が大量にほしいという実業界のニーズがあるのですから、TICGが急速に発展するのも当然と言えます。
 実際、欽州市からは土地を無償で提供するので、第2キャンパスを作ってほしいという要請があるそうです。しかし、チェンメイはしばらくは「質を高めることに専念する」と言って、先送りしているそうです。教育は質がすべてですから、チェンメイの考え方は賢明です。
 また、2012年には「学位」(Degree)を出すことができる「University」への「格上げ」を計画しているそうです。現在は学生の80%は広西チワン自治区から来ているとのことですが、この「格上げ」によってより広い範囲から意欲ある学生を集めたいとチェンメイは語っていました。
 TICGのキャンパスの前には、「欽州学院」という官立の大学があり、そこでも1万人の学生が学んでいます。また、少し離れたところでは、これも官立の職業訓練学校(Vocational School)が今建設されています。すべてを合わせると、数年後には3万人規模のキャンパスタウンができあがることになります。
その背後には、「教育都市」を目指すという自治体のビジョンがあります。官のビジョンや支援と若き起業家のエネルギーがうまく組み合わさり、大きなうねりが生まれているのです。

来週は私が訪れた南寧、欽州という街の印象について話したいと思います。

[今週の出会い]

 チェンメイとの記念ショット。彼女は青島(チンタオ)の出身。学生時代にスコットランドのエジンバラに留学し、「中国で学校を作りたい!」と決意。たまたま留学時代に知り合った友人の父親が欽州の“お偉いさん”で、欽州が学校設立を誘致していると知り、何の縁もゆかりもない欽州にやってきたそうです。全財産と人生のすべてを投じて挑戦しているその姿は「立派!」の一言です。TICGを訪問した時には、校門前で学生やスタッフたちの熱烈歓迎を受け、びっくり!民主党の小沢一郎幹事長が中国ファンになるのも、少し理解しました。

TICGには日本語コースがあり、約100人の学生が日本語を学んでいます。その学生たちと1時間ほどQ&Aセッションを行いました。若い彼らは日本に興味津々。まだまだたどたどしい日本語で「原宿はどんなところですか?」「給料はいくらもらえますか?」「日本の大学の学費はいくらですか?」など質問の嵐。楽しいひとときでした!(写真は学生たちとの記念ショット。若い女性たちに囲まれて、二ヤケているのが自分でも分かります)

[今週のシナ]

 ソーセージ屋さんの前で動かないシナです。休みの日にはシナと昼間にも散歩にでかけます。そうすると、シナが立ち止まって、動かなくなる場所が2ヶ所あります。ひとつがこのソーセージ屋さん。本場のドイツソーセージを手作りしている地元では老舗のお店です。そして、もうひとつが焼きたてのパンが評判のパン屋さん。どちらも美味しいごちそうを買うところだというのが分かっているので、梃子でも動こうとしません。飼い主に似て、美味しいものには目がないようです。