Isao Endo  遠藤 功

遠藤功が「現場力」を語るコラムをお届けします

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連載コラム「現場通信」

Weekly現場通信 vol.54 北嶋製作所

[2011-02-28]

 先週のこのコラムで、早稲田大学ビジネススクールの授業の一環で大田区にある北嶋製作所という会社を訪問したとお伝えしました。とても興味深いこの会社について、今回はお話したいと思います。
 北嶋製作所を訪問する前に、学生たちは羽田にある日本航空(JAL)の整備場を訪問していたので、その規模感の違いに最初は戸惑っている様子でした。お世辞にもきれいとはいえない、いかにも町工場という会社のたたずまいを見て、「こんな中小企業をわざわざ訪問する意味があるのか?」と訝しがった学生もいたかもしれません。
 しかし、工場内で北嶋實社長のお話を伺い、もくもくと作業する現場の従業員の人たちの様子を見て、学生たちがどんどんと興味を持っていきました。
 この会社は「へら絞り」と呼ばれる金属加工を生業としている会社です。従業員は20人。その内、職人は15人。平均30年、長い人は40年以上の経験を持つ職人集団です。
 「へら絞り」とは「へら」と呼ばれる棒状の道具を使って、金属を加工する手法。(写真は「へら絞り」について北嶋社長が説明されているところです。手に持っているのが「へら」です)。ロクロを回してお椀を作る要領に似ています。
 この加工技術一本で、鍋や鈴から、パラボラアンテナやロケットの先端のキャップまで作ってしまうのです。現場で働く職人たちのその作業の様子を見て、学生たちは興味津々。自らの体重をかけて、ミクロンの精度の加工を行うのですから、まさに「匠の技」です。
 一人前の技能を身につけるまでには、最低10年はかかるとのこと。アドバイスはできても、教えることはできず、自分の体で覚えるしかないのです。

 北嶋社長のご好意で、学生たちの多くは、簡単な加工を実際に行う「体験」もさせてもらいました。(写真)機械や道具を上手に扱うことができず、苦労する学生が続出。Craftsmanship(職人芸)とは何かを、肌で感じたと思います。
 こうした高度な技能を有する北嶋製作所のような会社でも、リーマンショックの影響は大きかったようです。売り上げは3割減少。2年以上過った今でも、元には戻っていないようです。
 国内では「北嶋ブランド」が確立。「困った時は、北嶋に相談しろ」という評判が立つほど、口コミで仕事が舞い込んできたそうです。しかし、今は厳しい状況が続いています。どのお客さんもコストにシビアで、見積もりを出してもなかなか決まらないことも多いそうです。
 内需の回復には期待できないと判断された北嶋社長は、海外への進出を模索されています。5月には中国・大連の展示会に初めて出展されるそうです。英語のHPも作り、海外への売り込みに必死です。
 もちろん、これからの道程は容易ではありません。国内ではこれといった営業やマーケティングをしなくてもやってこれましたが、「北嶋ブランド」が通用しない海外では、白地で需要開拓をしなくてはなりません。
 しかし、立ち止まっているわけにはいかないのです。高度技能を武器にするためにも、会社としての総合力を磨く必要があるのです。
 モノづくりの国・日本を支えてきた高度な技能を持つ中小企業の凄さと苦悩、そして新たな挑戦を垣間見たような現場訪問となりました。

(お知らせ)

 カラーズ・ビジネス・カレッジ(CBC)の説明会を下記に開催します。神田須田町のクラスルームも無事完成!「世界」を広げ、新たな「出会い」を見つける絶好のチャンスです。私も毎回参加し、個別相談にも対応します。興味のある方は是非ご参加ください。

3月5日(土)PM1:00~
3月9日(水)PM7:00~
3月16日(水)PM7:00~
3月19日(土)PM1:00~

[今週の出会い]

 BSイレブン(全国放送)の「未来ビジョン~元気出せ!!ニッポン~」という番組のゲストとして収録を行ってきました。メインキャスターの生島ヒロシさん、アシスタントの千綿舞子さんとの記念ショットです。今回の収録が番組がスタートしてちょうど1年ということで、お二人にはスタッフから花束が贈られました。
 30分の番組ですが、今回のテーマは「安売りから高品質・高付加価値へ」。私が昨年出版した「『日本品質』で世界を制す!」をもとに、内容が構成されています。生島さんの雰囲気作り、そして仕切りの上手さは「さすが!」の一言。とても気持ちのよい収録となりました。
 放送は4月2日(土)18:30~19:00です。是非、ご覧ください。

[今週のシナ]

 ソファで佇むうしろ姿のシナです。見ている先は台所。何か美味しそうな匂いがしているのかもしれません。
 シナも4歳。人間で言えば、青年期の後期でしょうか?少しずつ、うしろ姿にも「哀愁」が帯びてきました。